相続

死亡保険金の不思議

相続放棄時や受取人が先に死亡した場合

 死亡保険金については通常の相続とは異なる点がいくつかあります。下記の相続関係を用いてご説明します。

親族関係図

例1 保険金と相続放棄の関係

 被保険者である[へ母]が死亡しました。[へ母]には少しの預貯金と山のようなの借金があり、相続人である夫[と父]と姉[ほママ]は、それらを引き継がないように、家庭裁判所に相続放棄を申し出ました。

 1ヵ月後、無事に相続放棄が認められました。相続放棄をすると、借金は引き継がなくても良くなりますが、[へ母]の預貯金も引き継ぐ事ができなくなってしまいます

 ところが…ポイントです。

 [へ母]が契約していた保険契約の死亡保険金は、相続財産とは民法上は別に考えられているため、その受取人であった夫の[と父]は、この死亡保険金を受け取ることができるのです。

わーちゃん

借金の相手方を害する意思で保険に入るのはだめだよ。

例2 受取人が先に死亡した場合の受取人は?

 被保険者である[へ母]が死亡しました。しかし、この時、死亡保険金の受取人であったはずの夫[と父]も、既に亡くなっていました。この場合、保険金は誰に支払われるでしょう?

親族関係図

 家族図をみると、[と父]の妻は亡くなっているので、弟の[ちパパ]が相続人となり、保険金も受け取れるように思います。しかし、よーく考えると、[と父]死亡時点では、妻[へ母]は生きていました。

 そのため、[と父]が死亡した時点での[と父]の相続人は、[へ母]と[ちパパ]だったことになります。そして、このたび[へ母]が亡くなったことで、その[へ母]の権利は姉[ほママ]が引き継がれたのです。

 よって、[へ母]の死亡保険金の受取人は、[ちパパ]と[ほママ]になります。

  1. [ちパパ]  1/4
  2. [ほママ]  3/4  

 当初の保険金受取人が万一先に亡くなった場合は、その後の受取人を再度検討しなおすことをオススメします。

ABOUT ME
福井 孝博
司法書士の福井です。住吉区の長居で夫婦2人で事務所を始めて、コツコツと11年目になりました。このブログでは、実務で取り扱うことの多い、相続・遺言・成年後見などの情報やアドバイスをお伝えしています。お近くの方は特に相談料をお受けしていませんので、お気軽にお問い合わせくださいませ。